2人目はいいたて結い農園 長正増夫さんです。
えごまとは
えごまとはじゅうねんと呼ばれる植物で食べると10年長生きすると言われていたことが由来です。農村地域では多くの人が栽培していました。えごまにはα-リノレン酸という人間の体内で作ることができない、食事から摂取しなくてはならない脳の必須栄養素が豊富に含まれています。擦ってうどんのたれやおはぎに混ぜて食べるのがおすすめです。
コスト勝負より品質勝負
えごまの実はとても小さく、収穫の際に小さな虫やごみなどが混ざるので、出荷にあたって除去しなければいけません。コストを重視するのであればコンバインの使用が効果的ではありますが、機械を用いてしまうと実の多くが壊れてしまうため、結い農園ではすべて手作業で行っています。また食べ物の安全性の重視から、無農薬で栽培を行っています。今はコスト勝負の時代であり、いかに安く買えるかが重要視されています。コストを抑えて商品を作る人も必要ですが、健康のために良い製品も必要だと私は思います。
結い農園のはじまり
福島第一原子力発電所事故後、飯舘村は全村避難となりました。村に戻ることができるようになったとき、専門家の意見は様々であり本当に安全であるのか知りたくて、自分たちで測定をしようとしました。そして福島大学、新潟大学などの先生方にご協力いただくことになりました。除染作業の前、中、後、と測定を行っていくうちに、みんなでまた集まることができる機会を作りたい、飯舘村の農地を守りたいと思うようになりました。しかし飯舘村に戻ることを決めた村民の多くは高齢者であり、力が必要な畑仕事や畜産は厳しいです。そんなときに元々多くの農家が行っていて軽作業で育つ、えごまがいいのではないかという話になりました。こうして作業を通じて健康寿命を延ばし、高齢者が元気に暮らせるコミュニティが作られました。
最後に
現在、農業に携わる若者は減少傾向にあります。飯舘村の農業は特にその傾向にあります。
農業はとても難しいです。経験によって天気を把握するなど、必要なのは栽培技術だけではありません。その年の収穫量、消費者の動向の予測もしなければいけません。ただ若い人がそのような難しいことに挑戦することは面白いとは思います。
私たちは放射線から逃げることはできません。まっ正面から向き合わねばいけません。そのために科学的にじぶんなりに租借できる能力をもたねばならないのです。
いいたて結い農園ホームページ: